説明文は解けるけど、物語文は苦手。。。

物語文を攻略するには

一般社団法人-日本速脳速読協会が実施する速読速解力検定は、縦書き、横書きそれぞれ5000文字程度の文章を読み、読解速度を判定します。

横書きは説明文、縦書きが物語文になっているため、少し深堀して総合的によくできているか、どちらか片方ができているか、それともどちらもできていないかを判定することができます。

生徒の中に、特に男の子に多いのですが、説明文はできるのに物語文の正解率が低く、速度もいまいちという生徒がちらほら見受けられます。

そういった生徒の学習塾での成績を見てみると、苦手科目=国語、本当は物語だけが苦手なだけにも関わらず、説明文もひっくるめて国語ですので、国語が苦手という判断になってしまっているケースがあります。

では、物語文が苦手という生徒がいるとしたら、その生徒は、なぜ物語文が苦手なのでしょうか?
そもそも物語文が苦手というのはどういった状況に陥っているんでしょうか?

説明文は、著者の主張と、その主張をどのような論理で説明しているのかを理解そして正確に解答することで解けたということになります。必要なのは言葉そのものを理解することであり、言葉の裏に隠されていることなどは読み取る必要がありません。

では物語文はどうでしょうか?

著者が自身のボキャブラリーをフルに活用した、細かく、そして繊細な言葉で説明された登場人物の行動や会話から、その人の心情を正確にとらえ、そして理解し解答する。これで解けたということになります。問題によっては、行動だけ書かれた文章からその人の心情をとらえるようなものに遭遇することもあるでしょう。

つまり、細かく豊かに表現された言葉から、どこまでその感情を読み取れるかということがポイントとなります。

1つ目のポイントとしては、心理学的な用語でいうと「感情の粒度」が高い状況、さまざまな感情を、感覚で理解することができるかどうかが重要となります。

「感情の粒度」(言葉の分類)とは、自分の感情をどれだけ詳しく説明できるかということです。例えば、「気分が悪い」という言葉。これを細かく分類すれば、「不愉快、嫌らしげ、嫌らしい、鬱陶しげ、不祥、うっとうしい、厭わしい、気うとい」といった複数の表現に分類できます。

つまり、一つの言葉でも、細かく見れば、たくさんの表現に分類できます。これらのひとつひとつに微妙な違いが感じ取れるかどうかがポイントとなります。

2つ目のポイントは、感情に紐付ける言葉の語彙力です。感情が理解できても、言葉をたくさん知らなければなりません。言葉を知らなければ表現することも理解することもできません。

1つ目のポイントも2つ目のポイントも大事であることがわかります。

では、具体的にどのようにすれば「感情の粒度」を高め、語彙力を高めていけるのでしょうか?

たくさんの様々な実体験から、豊かな感覚や感情を生み出し、自身の中で湧き起こった感覚や感情を、効果的に言葉で分類することで「感情の粒度」は上げることができます。

アメリカの大学での研究によると、いろいろな感情を体験している人は、活動のバリエーションが豊富で、活動のバリエーションが多ければ多いほど、感情の多様性は高く、「感情の粒度」を高めることにつながっているという結果でした。

アメリカカリフォルニアの大学

低い年齢から、たくさんの実体験でたくさんの感覚や感情を経験する。学年があがるにつれて、すでに経験した感情や、その時に得られる感情を新しく学ぶ言葉と紐付け分類していく。

たくさん本を読んだり、読解の問題集をたくさん解くことによって、ますます語彙を増やしていけば、書かれた文章からその人の感情をより正確に理解・表現できるようになります。

米国ノースイースタン大学の神経学者であるリサ・フェルドマン・バレット氏は自身の著書『情動はこうしてつくられる 脳の隠れた働きと構成主義的情動理論』で、感情の粒度を上げ、自身の気持ちをより深く分類・認識することができれば、生活上でのストレスを軽減し、より満足度の高い生活・人生がおくれるようになると書かれてあります。

物語文を少しでも得意分野に近づけるには、親として子供に少しでも豊かな人生を送ってほしいという願いを込めて、ポジティブな感情もネガティブな感情もすべて、大切な感覚・感情としてとらえ、「これだ!」っていう言葉を親子で一緒に探してみることが物語文を得意分野に近づける一番の近道かもしれません。