ゲームは教育的にいいのか悪いのか・・・

今の小学生の親世代は、小さい頃からゲームを触り始めたくらいの年代でしょうか。
ゲームはただ楽しいだけではなく、友人関係の構築にも必要不可欠な存在だったと思います。
ただし勉強との関係性で考えると、この二つは対極にあるもので、ゲームをすればするほど勉強に支障が出る、という印象をもっていたのではないでしょうか。

ゲームに夢中になっているときと同じぐらいの集中力で勉強してくれたらなぁ~

1)ゲームによる悪い影響

確かにゲームに熱中することによるマイナスの影響はいくつも考えられます。
・学習の時間が減る
・攻撃性が強くなる
・視力が悪化する
・依存性がある

最後の「依存性」というのが特に重要で、常にゲームのことを考えてしまい勉強が手につかない。親に何度叱られても、「あと少しだけ」「キリがいいところまで」と、やめることができなくなってしまいます。
この状態に陥ると、どんどん勉強、食事、睡眠など他の時間が削られていってしまうでしょう。
当然、健康に支障が出るような遊び方は絶対に避けなければなりませんし、教育面への影響も大きくマイナスでしょう。

ただし、近年の研究では「ゲームと子供の発達や学習には因果関係がない」とするものや、「ゲームの時間を制限しても、子供の学習時間はほんの少ししか増加しなかった」とするものもあるようです。
ゲームだけを取り上げたとしても、その分勉強机に向かうということはなく、また別の似たような遊びを探すだけだということです。


2)ゲームによる良い影響

では、ゲームと学習の良い関係に目を向けてみるとどうでしょうか。
例えばロールプレイングゲームなどは、創造性や忍耐力を培うのに良い影響があるとされています。
どんなゲームでも共通しているのは以下のようなことです。
・ゴールを目指す
・問題を解決する
・よりよい方法を見つける
・訓練を経て上手になる

こうして並べてみると、どれも人間として成長するために必要なことのようです。
非認知能力である「創造力」や「やりぬく力」「前向きに取り組むこと」といった能力を伸ばすチャンスがあるし、協力プレイなどは「協調性」にも影響を及ぼしてくるでしょう。

もっと分かりやすい「知識量」という面でいえば
・歴史シミュレーションゲームを遊ぶことによって、歴史上の人物や出来事に詳しくなる
・地図上をすごろくで回るゲームによって、地名や特産品について詳しくなる
といった良い点もあります。

最初から学力向上を目的にテレビゲームをする子供はいないでしょうが、教育に対して全く無意味だと切り捨てられるほどでもないと思います。


3)ゲーム的な学習

ゲームと学習の関係ではなく、二つを一緒に考えてみるとどうでしょうか。
ゲーム的な面白さを取り入れた勉強方法というのはいろいろあります。
速読トレーニングの中には、ゲームをしている感覚で、いつの間にかそれが学習や能力向上につながっているというものもあります。

ゲーム要素を取り入れることにより、自分の能力が上がっていることを実感できたり、ステージをクリアしていくことにより達成感を得て、自信をつけていく。
それがまた次へのモチベーションとなり、いいサイクルで学習を続けていくことができます。

こちらから与えなくても、日々の勉強の中に自らゲーム性を見出して楽しみながら学ぶことができるのが理想的で、そういう子供は無理に教えなくても自然と伸びていくでしょう。


4)おわりに

これまで見てきたようにゲームには当然功罪両面あり、結局のところ程度の問題と言えます。
いかに上手く付き合っていくか。
重要になってくるのはゲームのジャンルや内容ではなく、子供自身がどこまで自律できるのか、親がどこまで上手に管理できるのかといった点です。

現代においては、eスポーツというジャンルが確立され、専門に学ぶための学校もできてきている中では、すでにそれ自体が学問の一分野になっていると捉えることもできます。
極端な言い方になりますが、「国語は教育的にいいのか」「理科は教育的にいいのか」と問われてもピンとこないように、「ゲームは教育的にいいのか」という問い自体が成立しない時代になりつつあるのかもしれません。